第3話|金利は敵?味方? お金を「借りる人」と「持っている人」で意味が真逆になる話
前回は、「日本人が長い間忘れていた、金利の力」について書きました。
100万円でも、仮に年5%で30年間複利運用できれば、約432万円になる。
数%という数字でも、そこに時間が加わると、ものすごく大きな力になる。
でも今回は、その金利の「もう一つの顔」についてです。
金利というものは、誰にとっても良いものではありません。
立場が変わると、味方にもなれば、敵にもなります。
ものすごく簡単に考えてみます。
自分が100万円を貸して、そのお金から年5%を受け取れるとします。
自分にとって、この5%は収入です。
お金が働いて、お金を生んでくれています。
ところが、その反対側には、100万円を借りて、5%を支払っている人がいます。
その人にとっては、同じ5%が支出になります。
つまり、金利というのは、受け取る側に回るのか、支払う側に回るのかで、意味が全く逆になるんです。
そして、不動産投資は、まさにこの金利と深く関係しています。
例えば、銀行から5,000万円を借りてアパートを買う。
銀行から借りたお金には、金利を払います。
でもその5,000万円で買ったアパートには、入居者さんが住んで、毎月家賃を払ってくれます。
つまり、借りたお金にもコストがかかる一方で、その借りたお金で買った資産も働いてくれる。
ものすごく単純にすると、不動産投資では、「資産が生み出す力」と、「借りたお金にかかるコスト」の差を見ているとも言えます。
だから、「利回りが高いから良い物件」だけでは判断できません。
例えば、資産が8%の収益を生んでくれる。借入金利は1%。その他の経費を一旦置いておけば、かなり大きな差があります。
でも、資産が生み出す収益は同じ8%でも、借入金利が4%、5%と上がったらどうでしょう。
同じ物件なのに、手元に残るお金は大きく変わります。
実は、この「4%、5%」は、もう例え話ではなくなってきています。
投資用アパートローンの変動金利は、2026年7月時点で、オリックス銀行が年2.425%〜4.425%と案内していました。
借りる人の年収や資産、物件の築年数、収益性などで、一人ひとり金利が決まる仕組みです。
もう一つ、「えっ、そうなの?」と思った話があります。
自宅用の住宅ローンには、金利が上がっても返済額の変更を先送りしてくれる「5年ルール」や「125%ルール」があります。
ところが、アパートローンは事業のための融資なので、そうした守りが働きにくく、金利の上昇が適用金利にそのまま反映されやすいそうです。
自宅を買う人より、大家さんの方が、金利の影響をまともに受けるんです。
では、金利が少し違うだけで、どれくらい変わるのでしょうか。
5,000万円を35年で借りて、金利が1.97%から2.71%に上がった場合の試算があります。
毎月の返済は約2万円、年間で約24万円増えます。
35年間の総返済額では、約800万円前後の差になります。
たった0.7ポイントの違いです。
※この試算は自宅用のフラット35のものですが、長く借りるほど金利の差が効いてくる点は、アパートローンも同じです。
実際の不動産経営では、管理費、修繕費、固定資産税、空室、保険、その他さまざまな費用があります。
だから、本当はもっと複雑です。
でも一番大事な考え方はシンプルで、「その資産は、借りるためにかかるお金以上に働いてくれるのか?」ということだと思います。
自分はこれを、お金同士の綱引きみたいなものだと思っています。
物件が稼ぐ力。銀行に支払う金利。修繕などに出ていくお金。
その綱引きの最後に、自分のところに何が残るのか。
ここを見る。
さて、お金を借りるなら、変動金利と固定金利、本当はどっちが得なんでしょうか。
次回は、実際にあった当時の金利を使って、その損益分岐点を計算してみます。
※数字は2026年10月時点の報道や各社の公表値をもとにした目安です。
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